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novelsのブログ

お題にもとづいた短編小説やふと思いついた小説を不定期更新します

憂鬱なんてあそこの気持ちよさで吹き飛ばしてしまえ










憂鬱なんて
あそこの気持ちよさで
吹き飛ばしてしまえ



あの寒い日。
 
 
世界の中心でもなんでもない、池袋という雑多な街を彷徨いながら、わたしは誰彼構わず話しかけたい気持ちだった。
 
 
理由を聞いたら笑うだろう。当時つきあっていた彼から冷たい文章のメールが送られてきて、それに対しわたしは必死でおどけたり怒ってないよと送ったり、全然べつの話を振ったりした。しかし彼からの返信はなく、最終的に一番送りたくない言葉をメールに書いた。
 
 
「怒ってる?」
 
 
返信は無かった。もう終わりだと思った。彼からのメールの返信を待つためだけに、カラオケボックスに入ったり大型書店をうろついたりした。
 
だけどどの歌も気持ちよく歌うことはできなかったし、どの本もわたしに語りかけてはこなかった。
 
 
情けないが、わたしは彼のことで頭がいっぱいだった。全力で、彼のことを好きだった。好き過ぎるとはこういうことを言うんだと思った。
 
彼の顔や目の配り方、話し始めの上ずった声、何を話すときにも、うん、とか、えっとね、とか一拍置いてから話し始めるところも好きだった。そうだ、と何か思いついた時に両手を音を鳴らさずに合わせるしぐさをするのも好きだった。
 
たくさんのことを同時に考えると面倒になってしまうのか、「もういいよ」が口癖だった。年下なのに上から目線で物を言うところも、彼なら可愛いと思えた。一生上から目線でも構わない、だからいつかあなたの子どもが欲しい、そんなことまで考えていた。
 
 
ぜんぶ愛しかった。
 
 
愛しすぎて、失うことがそのままこの世界の終わりを意味しているように感じた。何者も代わりにはならないと思った。彼以外のすべてに上の空だった。
 
 
 
彼と、連絡が取れない。
 
 
朝の冷たい文章のメールを最後に、夕方の今まで何も連絡がない。彼を知ってから、たった1日がこんなに長い。それまでの穏やかな生活は、みんなどこかへ行ってしまった。もうあの生活を取り戻すことはできないと思った。だってそれより、彼が欲しいんだから。
 
 
誰彼構わず、通りを行き交う人を見る。泣きそうな顔で、誰かに話を聞いて欲しくて。
 
 
「こんな…こんなつらいんなら、一人でいた方がまし…」
 
 
寒空の下、しゃがみこんで肩にかけていたバッグを前に抱え、涙がこぼれるのをこらえていた。
 
 
「…具合が、悪いんですか?」
 
 
40代半ばの男が声をかけてきた。その顔を見返し、いいえ、と首を振る。意外にも、その男はふっと笑って、
 
 
「何かつらいことがおありなら、話を聞きましょうか」
 
 
と言ってきた。男はスーツの上にコート、手袋というサラリーマン風のいでたちだった。会社にいたら素敵な上司の部類に入るであろう外見だ。男はさっと手袋を外し、その手をわたしに向けて差し出した。
 
一瞬ためらったけど、わたしは男の手につかまって立ち上がった。男は、わたしが立ち上がったあとも、手を繋いだままにして、お茶を飲みに行こうと言った。
 
 
歴史のありそうな重厚な喫茶店の奥の席で、わたしと男は向き合った。男はアジアのある島の名前がついたコーヒーを注文した。わたしは早口でブレンドを注文した。しばらくして、熱いコーヒーが運ばれてくる頃には、わたしたちはお互いの身の上を明かしていた。
 
 
熱いコーヒーをすすりながら、わたしは彼からの連絡がないこと、それがたまらなく寂しいこと、そして、彼との性生活が淡泊でつらいということまで話してしまっていた。男はそこまで聞いてようやく口を開いた。


「こんなオジサンでも良ければ、少なくとも今日の寂しさくらいは埋められるかもしれない。一緒に、出ようか」

わたしは言葉の意味を理解し、一緒に喫茶店を出た。男はまた手を繋いできた。喫茶店であたたまったので、男の手はなおいっそう温かく、熱いくらいだと感じた。


喫茶店を出て角を二回曲がったら、繁華街の裏手に位置する小さなホテル街に出た。いちばん綺麗そうなところに男はわたしを引っ張っていった。拒む理由は何もなかった。

男はホテルの部屋に入ると、コートを脱ぎ、わたしにもコートを脱ぐよう促した。白のタートルニットを着ているわたしの体の、胸のあたりを見ているのがわかった。わたしは恥ずかしくなって、男に背を向けてコートを壁に掛けた。その瞬間、男は後ろからゆっくりと、わたしを抱き寄せるようにして体を近づけてきた。

そこからは流れるようにすべてが始まった。一緒にシャワーを浴びて、体を洗いあった。何かされるかと思ったけど、男はまったくあせりを見せない様子だった。下半身だけは元気になっていたが、「ゴメンゴメン」と笑いながら言うので、本当に、怖さを感じなかった。

バスタオルを巻いた状態でベッドに移動すると、男は優しく布団をかけてくれて、寒くないかと聞いてくれた。そして、こう言った。

「彼にしてもらえなくて、満足できないことを、全部してあげる。君は、彼にされていると思って目をつぶっていてもいいよ」
「そんな…」
「触るよ」

男はわたしのバスタオルをはだけさせ、ソフトタッチで胸に触れてきた。もうこれだけで声が漏れるくらいに気持ちが良かった。いつも彼とするときも胸は触られているけど、触り方が違うからか、いつもより興奮してしまう。ゆっくり、ゆっくりと指先でわたしの胸を鋭敏にしたあと、今度はゆっくりと舌で乳首を舐め上げた。

「ああっ…」

我慢できずに声を出してしまった。あわてて自分の左手で口を覆う。男はわたしの反応を確かめた上で、舌を使って左右の乳首を丹念に舐めた。それから、首筋、耳元も舐めた。耳元で、キスはしないから、と言った。わたしは、してもいいのに…と思っていた。

その後男は、わきの下やわき腹を舐めながら、両手で胸を愛撫してくれた。もう充分にあそこが潤っているのが自分でもわかった。男はわたしの腰骨を軽く噛みながら「彼にしてもらってると想像してごらん」と言い、わたしの両足を広げ、あそこに顔を沈めた。しばらく眺めていたのだろうか。何も刺激がこない。わたしが自分のあそこをのぞき込むように男の様子をうかがうと、男はわたしの目を見て、

「すごくきれいだ」

と言った。そして、ゆっくり顔をうずめ、股関節のあたりからじわじわと舐め進めていく。中心にはいかずにゆっくりと。もう、もどかしくて仕方がないのだけど、自分からしてとは言えない。腰が動いてしまう。気持ちがいいところを、男の顔に近づけるように、少しだけ腰を動かす。

「そんなにここ、舐めてほしいんだ。いいよ、思いっきり舐めてあげる」

男はジュルっと音を立ててわたしのあそこに吸い付いた。わたしは悲鳴をあげた。もうその瞬間にイッてしまっていたのかもしれない。目の前が光った。それから少しずつ位置を変え、舌とくちびるの使い方を変え、吸い出すような動きを加え、わたしを絶頂の手前までもっていった。

わたしは途中までは彼のことを考えていたのだけれど、これをしてくれない彼のことを思い出すと寂しい気持ちになった。そして、今目の前にいる男の真摯な愛撫に心打たれた。体勢をずらし、男にあおむけになってもらう。さっき洗ってあげたこの体をわたしも舐めたい。そう思った。

わたしは「キスしていいですか」と聞き、男がうなずくと、自分からキスをした。唇を重ねて、それから食むように男のくちびるの感触を楽しんだ。男はわたしのくちびるの間から、少し舌を差し込んできた。わたしはそれに応じるように舌をからめた。そこからは、もう普通の恋人がするような濃厚なキスになった。

濃厚なキスのあと、わたしは男の体のあらゆる部分を舐めた。唯一、一番感じるところだけを残して。足の指までキスをし終えて、太ももまで戻ってきたとき、男はわたしの腰を自分の口元に引き寄せた。男の顔の前にわたしのあそこがむきだしになっている。そしてわたしの目の前には、男の固くなったモノがあった。先端にあふれている透明な汁を舌でなめ、亀頭全体にいきわたらせるように舌でなめまわした。それから、顔を傾けてサオの側面をくちびる全体で上下になぞった。根元の茂みにもキスをした。両手で陰嚢や太腿の部分をさわさわと撫でまわした。


わたしが亀頭に口をつけ、口に含むと同時に、男の責めが始まった。さっき寸止めされたままだったあそこが再び小さく痙攣し始める。男は舌とくちびるでわたしを快楽に溺れさせていた。そして、しばらくするとあそこに指を入れてきた。男のモノを口に含んでいたわたしは、くぐもった声で喘いだ。快感に飲み込まれないよう、意識をはっきりさせながら、男のモノを口内で転がし、くちびるをすぼめて扱き、陰嚢の感触を楽しんだ。

男のモノの先端から出る液体を味わい、男の巧みな愛撫に酔い、いよいよ高まってしまい、わたしはイキそうになってしまった。男はわたしの手を引き、体勢を変えさせた。ベッドにあおむけに寝かせ、男はわたしの横に寝そべったまま、わたしのあそこに手を伸ばした。さっきまで舌で刺激されていたところを、今度は指で刺激される。潤沢にあふれているそこは、少しの摩擦でもイッてしまいそうだった。

「イクところ、見せて」
「うん…」

男は手のひら全体であそこを円を描くように刺激した。その弱すぎる刺激にわたしは腰を突き出してしまったが、男はその微弱な愛撫で確実にわたしの秘豆を絶頂へ持っていけるのを知っていた。わたしの息がどんどん荒くなり、吐息に声が混ざるころ、男は微弱だった愛撫を少しだけ強め、速めに円を描いた。

「アッアッだめイク…!」

イクと言ってから数秒間、どうしようもない気持ちよさに支配され、目の前がぱぁっと明るくなった。そして男の刺激が徐々に強まる中、わたしの秘豆は限界を迎え、心臓がドクンと鳴り、太腿と腰まで痙攣させてわたしは絶頂に達した。


男はわたしのイクところをずっと見ていたらしく、もう一回見たいと言い、秘豆の愛撫を何度か繰り返した。恥ずかしいくらい何度もイッてしまい、わたしは自分から、

「もう…入れてほしい…」

と懇願した。男はわたしの上に覆いかぶさり、深いキスをした。乳首をやさしくまさぐった後、きちんとゴムをつけてから自分のモノをわたしのあそこにあてがった。わたしは恥ずかしいけれど、もう我慢ができなくて、少しだけ足を開いた。

ずぶ…と男のモノが入ってきた。ゾクゾクと全身が快感に包まれた。もっと…もっと奥まで来てほしい…。男はゆっくりと入ってきて、やがて根元までわたしの中に入ったようだった。男はわたしの中で小刻みにモノを動かしたあと、一度引き抜き、一気に突いてきた。わたしは大きな声をあげ、男の肩に手を回した。男は力強くピストンし、ある時は入口近くの気持ちのいいところをこすりあげ、しばらくそうしたあと、今度は一番奥を突いてきた。

「ああっ…! そこ、気持ちいい…」

喘ぎながら伝えたその言葉に呼応するように、男はわたしのポイントを探り当て、何度も何度も突いてきた。膣内(なか)でイッたことなんてなかったのに、もしかして、ここ突かれてたら…おかしくなっちゃう…。わたしは男を抱きしめ、男の耳元で思い切り喘いだ。そしていつからか、「イッちゃう、イッちゃう…」と繰り返していた。膣内(なか)で絶頂を迎える時が近づいているのがわかった。


男は体を起こして激しく腰を振り、そろそろいくよ、と言った。わたしはうん、と答え、目を閉じた。あ、いく…男がうめき、膣内で男のモノがグッと圧を掛けてきた。んっ、ああ、膣内でイキそびれちゃった…そんなことを考えながら男の体を抱きしめていた。

男はしばらくわたしの上に倒れこんでいたが、体を起こすと、キスをしてくれた。こんなことも、「彼」なら絶対にしてくれないことだった。

「先にいっちゃってごめん。次はちゃんと…」

言いかける男に対し、わたしは、

「いいですよ。今日もう一回でも、また今度会うのでも」

と笑い返した。さっきまで「彼」からのメールが無いことで欝々とした気持ちだったが、セックスをしたらなんだかどうでもよくなった。それよりこの男ともう一回したい。わたしはきっとこの男とのセックスで初めての膣内(なか)イキをするんだろうなと思った。

男の息が整ったら、もう一回男のものを口でしゃぶって元気にしよう。そして膣内(なか)の快感を思う存分享受したい。難しいことを考えるのは、その後でいい。そんなふうに思いながら、男の体にぴったりと寄り添った。